先日の夜に、“さて寝ようかな”と思っていると、
耳がピクッと動く、桜餅にまつわる話がラジオから聞こえてきました。
【ラジオ深夜便】
深夜便アーカイブス【シリーズ:桜の魅力】「美味(おい)しい桜のはなし」桜と食の研究家 平出眞(17.3.22)
(2021年4月15日(木) 午前2:00まで聴き逃し配信)(公開終了)
翌日に改めて聞いてみると、桜餅にまつわる歴史や、素材の変遷と地域差、秘められた成分の引き出し方など、
好奇心とスイーツ用の別腹をくすぐられるエピソードが盛り沢山で、
興味のある方は、ぜひ聞いてみてほしいなと思っています。
番組を聞いているうちに思い出したのは、
昔、京都を旅したときに、途中で疲れて、お茶屋さんにたどり着き、
縁台に敷かれている緋毛氈と呼ばれる赤いフェルトの上に腰掛け、焼きたてのみたらし団子を出してもらったことや、
それを食べながら、
“はぁ〜💓昔の人もこうして、旅の途中で同じようなものを食べたのかなぁ〜”
と、思いを馳せていたことでした。
今はパンデミックが起きていて、
さらに変異株の感染力の強さを示す事例が多くなってきていたり、
桜の季節の人出の影響がこれから出てくるだろうと言われている時ですが、
脳内のタイムトラベルは自由です。
何年か後でも、自分や人への影響を考えずに、自由に気軽に動けるようになった時、
興味のあることのその奥を知っていると、同じように旅をしても、見えてくるものが全く違ってくるので、
いつかのための今を過ごしているような気がして、そうした意味でも、とても楽しい番組でした。
さて、蜂は桜餅をぱくっと葉っぱまで食べる派なのですが、
あの時のふわっと香る香りが好きで食べている節があります。
そして桜餅の香りの正体を考えながら食べたことはなかったのですが、
あの香りは、ある成分によるものだと偶然知って、一年が経ちました。
桜餅の葉っぱのふわっとした香り。
その成分は、クマリンと言うのだそうです。
桜餅の身近さ
その香りの正体を知ってしまうと、これまでの桜餅にまつわる経験が色々と動き出します。
桜餅の葉っぱの香りが思い出させるもの。
それは、祖母の家で縁側に座り、窓から差し込む陽に包まれてポカポカしていると、
祖母がお茶と桜餅をお盆に乗せて、「お茶にしようか」と持ってきてくれた光景や、
これまた祖母と、桜の季節に桜餅やお弁当を持って、花の綺麗な園芸センターに行き、
一緒にレジャーシートを敷いて食べたときに見えた、
空に桜、大地に菜の花が咲き誇る光景や、
アーモンドの花と桜の花はよく似ているなぁ、と発見した日のことを思い出します。
和菓子屋さんで作られた桜餅もあれば、
桜餅って身近な和菓子で、
ちょっとほっとしたいなと思ったときに、買い物のついでに買いやすい側面もある和菓子ですよね。
その桜餅には、先人たちの知恵と工夫がたくさん織り込まれていて、今、食卓の上にあることを知ると、
桜餅が桜餅としてここにあって、これを今いただけるというのは、
普通の日々のようでいて、そうでもないんだなぁ、と桜餅にしみじみと見入ってしまいます。
お茶の中の桜餅
クマリンという桜餅の葉っぱの成分に着目してみると、
その成分を含んだお茶があるということも知りました。
一年越しに自分で自分の願いを叶えて、桜餅の葉っぱの香りがするというお茶をいただいてみると、
この一杯だけで完成しているように思えてきて、
「何かお菓子を合わせるよりも、これはこれだけで飲んだ方が美味しいかもね」と、伊都と同じ感想を持っていることを知ったり、
「あんこを作って、このお茶と一緒に食べれば、口の中で桜餅になるんかねぇ」と笑ったりもしました。
どうしてこのお茶に魅かれていたかを、よくよく探ってみると、たどり着くのは、
縁側で桜餅を一緒に食べたり、外で桜の花と菜の花を眺めながら過ごした時間を、
今ここに思い出したいからだ、と気づかされました。
これを思い出すまでは決して簡単ではなかったし、
することに追われたり、意識が未来や過去にズレたりすることの方が多い毎日でしたが、
自分にとって大切なものが、自分の中で再び繋がっていくと、
“それ以外に何がいるだろう、それにつながるものに力を注げばよくて、その要素は意外と多くないのでは”
と思えてくるから不思議です。
クマリン♪くまモン♪クマリン♪
ところでラジオ番組とは全く関係ないのですが、
桜餅の葉の香りの成分であるクマリンの名前が、脳の中で、なかなか香りとして再現されずに困っています。
香りとして再現されないどころか、必ずその単語の最後に必ず音符マークがついて、「クマリン♪」と頭の中で響き、
熊本県のマスコットキャラクター、くまモンに化けて、頭の中に出てきます。
(ちょうど、下のスクリーンショットの赤枠のようなイメージです。)
スタスタと窓枠内に現れたくまモンが、「やほっ!」とこちらに声をかける映像が、かれこれ一年以上続くから困ったものです。
くまモンが体現しているものがあるとするなら、それはなんだろう?と頭をひねる日々です。
平和な時代に花開いた桜文化
ラジオ番組の中では、「桜の文化は、平和な時代に花開いた」というお話がありました。
「平安時代や江戸時代の戦のない250年間に、一般庶民に、桜餅、桜湯、花見の文化が広がった」そうで、
「着物、工芸品、園芸文化が発展し、桜の品種も増え、700−800種類くらいあるとも言われているが、DNA鑑定をすると、300-400種類くらいに落ち着くのではと言われている」ほど、桜ひとつをテーマに多様に広がっていた時代があったそうです。
だから、「平和と桜は切っても切り離せない関係にある。平和の象徴のような想いもある」とお話しされていました。
目の前にある桜餅をいただけること。
戦争の反対は平和ではないとは分かっているつもりですが、
それでもひとときの平穏な時間を享受できていることが、当たり前のようでいて、当たり前ではないのかもしれない、
と脳を揺さぶられるような気分になりました。
ずいぶん昔のことですが、福岡の渡辺通りの人混みの中を歩いていたときに、
ふと理由のわからない焦燥感に駆られたことがあります。
“買い物をしたり、新しいものを探していることは、これはこれで楽しいんだけど、本当にこれでいいんだろうか”
と、空中で客観的に自分を見ている自分がいるような気がしていました。
最近、時々、そのことを思い出すことがあったのですが、
上記のエピソードを聴いていても、その時のことをまた思い出していました。
妙な性格だな、と自分でも思ってしまいます。
さて最後に、ラジオの構成をちょっと真似して、この記事を書きながら思い出したり、
偶然聞いた曲を2曲ほどご紹介して、この記事を締めたいと思います。
Sailing my life 平原綾香・藤澤ノリマサ(Dreamusic)
脳内タイムトラベルをしていたからか、桜餅に紐づくあれこれの間を漂っている気分になると、
この曲の「sailing my life, 夢の途中(正確な歌詞は、「旅の途中」)」という歌詞が、ふと口をついて出てきました。
改めて歌を聞いてみると、
“「これが自分だ」と思っている限界に近づいてきて、その先を思う不安ともどかしさ”が、歌詞に描かれていることを知りました。
そして「僕の代わりはだれもいないから」という歌詞に、
“だから、国のどんな内乱があろうとも、どんな人の命も、誰一人として奪われていい理由にはならないんだよ”
という気持ちを、ようやく流れ出させてもらいました。
平原綾香さんと藤澤ノリマサさんのお二人の重なる声は、
サビの部分で、低音と高音のメロディーが重なり、
厚い層を作りながら、メロディーが進んでいくように聞こえます。
低音にしっかり支えられているから、高音がどこまで高く伸びても、しっかりといかりがおろされている世界観ができている気がして、心地よく聴いていました。
男性のバイブレーションと女性のバイブレーションが同時に走って、うまく相互作用すると、
どんな世界ができるんだろうな、とふと思っていました。
風に立つライオン さだまさし (ビクターエンタテインメント)
2021年4月4日放送の、眠れない貴女(あなた)へ【ゲスト】小松亮太さん(2021年4月12日まで聴き逃し配信)(公開終了)を聴いていたときに、最初に流れてきた曲です。
(※桜餅のエピソードのラジオ深夜便よりも、こちらの番組の方が早く聴き逃し配信が終了するようです。興味のある方はご注意ください。)
不意に曲が流れてきたときには、何も言葉にならず、唇をかみしめて、目頭が熱くなっていました。
なんでしょうね。多くの方と同じように、今、無抵抗な人々の死に痛みを感じている一人で、
締めつけられる心を緩められるとしたら、心の中にあるものを代弁してくれたり、それを理解してくれて、どんと受け止めてくれる人が必要になるのだろうと思うのですが、
この曲はそんな役割を担ってくれたのかな、と思っています。
もしかすると、普通の意識の時には、この歌は壮大すぎるかもしれないけれど、
今はこれくらい壮大な世界観が必要だった、と聴いた後で気づかされていて、
途中で、アメイジング・グレイスが挿入されているのにも、グッときました。
本当に今のタイミングで聴くことができてよかった、と思った曲です。
(素敵な選曲をありがとうございました…!)
桜の文化は、平和な時代に発展している。
このことを忘れたくないな、と思っています。