Ⅰ. キャスターのタイヤのゴムが、ぽろぽろ落ちてきた
ある旅先でのことです。
床を見るとスーツケースの周りに、小さな黒い破片がぽろぽろと落ちていました。
はて。これは何だろう…?
そう思って見渡していると、その破片はスーツケースへと続いています。
ぽろぽろした破片をたどっていくと、その出元は陰になって隠れているキャスターのタイヤからきていました。
えっ!?と思ってスーツケースをひっくり返して見てみると、
タイヤのゴム部分が朽ちてはがれているではありませんか…!
ぎゃっ…!!
キャスターを4つ全部を見てみると、
きれいに全部ゴムがとれてしまっているタイヤも発見しました。
あまりにきれいに剥がれているので、パッと見ただけでは、これがタイヤのように見えるくらいです…。
そういえば、スーツケースをひいて歩くときに、
いつもよりやけにががたがた揺れるなと思っていたので、
てっきり道路の舗装のひび割れかと思っていました。
原因は、キャスターのタイヤの傷みだったようです…!
A. スーツケースの使いかたの注意
さらによく観察していると、
キャスターの劣化が起きているところに、共通点があることが見えてきました。
そう、劣化しているキャスターは2つとも、後輪だったのです。
そんなに私のスーツケースの使い方が荒かったのかしら…。
そう思って調べていると、
タイヤのゴムは10年も経つと劣化してしまうそうです。
ほっ。スーツケースに無理な負荷をかけていなくてよかったです…。
ただ気を付けなければいけないと思ったのは、後輪2輪でスーツケースを運ぶのではなく、
4輪全部を使って移動させたほうがいいということです。
やはり後輪だけ移動させると、本体の重みがかかりすぎるし、そういう風に使うようにはなっていないようなのです。
さて、このスーツケースは、購入したのが確か2005年なので、13年間使っていることになります。
こうして思い返すと、けっこう長く使っていますねぇ。
買い替えの時期でしょうか…。
いやいや、もう少し使えるはずです。
そう思ってメーカーの修理があるのかを調べました。
写真のスーツケースはプロテカのものなので、
エースのホームページを見ると、修理は可能だということがわかりました。
ただタイヤひとつの交換費用が、5000円弱とのこと。
今回はタイヤが2つ壊れているので、予算は1万円以上必要になります。
これは修理に出す方がよいのか、新品を購入することを検討した方がよいのか、考えてしまう金額でした。
う~ん、どうしよう…。
壊れたままではどこに行くときも困るし、
かといって、大きな金額だなぁ。。
どうしよう…。
修理の方法は本当にメーカーに出すしかないのかなとふと思ったことから、
今回のキャスターのタイヤの修理は始まりました。
Ⅱ. キャスターのタイヤ部分は自分で修理できるの?
パソコンでキャスターの修理を調べていると、
な、なんと、自分で修理をするという方法があるそうです。
こちらの記事(自分でできる! スーツケースのキャスター修理!)を読んでいると、
ステンレス用のノコと交換用のタイヤ、そして車軸があれば、修理できるとのことを知りました。
なに、これ。なんだか、楽しそう…。
もともとDIYが大好きで、手を動かして何かをしたい気持ちがうずきます。
そして道半ばとなっている、ものづくりのための道具の知識を増やしたい気持ちが再燃してくるのを感じました。
うまくいくかわからないけれど、やってみよう。
もしダメだったら、恥ずかしいけれど、メーカーの修理をお願いしよう。
そう思って、時間をまとめてとれるときを見計らって、上記の道具を探しに行くことにしたのです。
(気分はまるで、冒険に出る勇者!)
Ⅲ. 道具の準備
キャスターの構造を理解し、必要な道具のイメージをつかむまでは、
金属の軸を切ることが本当にできるんだろうか
中途半端な修理になって使い物にならなくなったらどうしよう
と、初めてのことにとりかかるときの心の抵抗も出てきました。
それでも一念発起して、必要な道具を必要な道具をメモし、
さぁ、ホームセンターに出かけることにしましょう。(やっぱり気分は、冒険に出る勇者)
A. ステンレス用のノコ
まず探したのが、タイヤの車軸を切るためのノコです。
これがなければ何も始まりません。
ノコで切るといえば、木材を思い描きますが、適切な道具があれば金属も切れるようなのです。
今回のことがあって、初めて知りました…!
そして見つけたのが、
ステンレス用のノコ(SK11 弦鋸の替刃 32山 No.18) です。
価格は700円くらいとお手頃です。(これにもびっくり)
こちらはホームセンターですぐ見つけることができました。
同時に、他の道具(交換用のタイヤと車軸)も決定すればよかったのですが、
車軸の直径は何ミリなのか、
実際に切って測ってみるまで確信が持てなかったので、
まずステンレス用のノコ(SK11 弦鋸の替刃 32山 No.18,)だけを購入しました。
手間はかかるけれど、初めての作業はステップバイステップをモットーに、
確信を持って進められるようにしています。
B. タイヤ
一度ホームセンターを後にし、
手に入れたステンレス用のノコ(SK11 弦鋸の替刃 32山 No.18,)で、
- 本当にスーツケースのタイヤの車軸は切れるのか?
- 自分の持っている車軸の直径は何ミリか?
を確かめることにしました。
実際に車軸にノコを入れてみると、確かに金属を切ることができました。
そして切れた車軸の直径を測ってみると、
多くの記事で読んだ通り、6ミリでした。
タイヤそのものの直径は38mmということは、スーツケースにはまったままで測って知っていました。
これがわかれば、次の道具を手に入れに行くことができます。
次に手に入れるべきは、直径が38mm、車軸を通す穴が直径6mmのタイヤ2つです。
再びホームセンターに行き、
タイヤ(ハンマーキャスター425G-R 38mm,) ( 100円弱/1つ) を2つ購入しました。
ゴムタイヤって、暮らしを便利にする隠れた名品なのに、これもお手頃価格です。
もっと活用する用途を見つけたいといつも思います。
C. 車軸
肝心の車軸ですが、いくつかの記事で紹介されていたような半ねじを、ホームセンターで見つけていました。
しかし半ねじでは、ねじの長さとタイヤの厚みが必ずしも一致するとは限らないので、
出来上がったときにキャスターから車軸が飛び出すことになります。
スーツケースをひっくり返してキャスターを見ることはあまりないかもしれませんが、
荷物の出し入れの時には目に入ります。
半ねじを車軸にするのは、あまり気乗りがしません。
他に方法はないだろうかと、ホームセンターでは車軸の購入はあきらめ、
見た目に影響しない車軸を必死に探しました。
するとようやくAmazonで
静音シリーズタイヤ用16点セット(車軸 6*35mm) なるキットを見つけました。
この車軸だと、キャスターの厚みに合わせて長さを選べるようになっています。
そのため半ねじを車軸にした場合のように、キャスターから不要な突起が出なくなります。
これがいいじゃない!
うまくいくのかなとどきどきしながらも、
静音シリーズタイヤ用16点セット(車軸 6*35mm) を購入しました。
(ちなみに、発送される中国からの国際郵便だったので、届くまでに時間が1週間ほどかかりましたが、
記事にまとめている今は、日本のAmazonから発送されるようになっています。)
さあ、これで道具は揃いました!
Ⅳ. 交換作業の手順
さぁ、いよいよ修理に取り掛かります。
その前に、キャスターの基本構造を思い描いておきましょう。
キャスターは、タイヤの穴に金属の軸を通すことで回転するようになっています。
壊れたタイヤを取り出すためには、車軸を切断し、新しいタイヤを新しい軸で通せばよいはずです。
A. 車軸を切断する
ということで、まずは車軸をステンレス用のノコで切ります。
いろいろな記事で読んだ通り、ここが一番大変です。
その車軸を切断することができれば、修理の大半の作業は終わったも同然です。
まず、楽な姿勢で切ることができる、床よりも一段高い場所にスーツケースを置きます。
ノコを引き続けるので、この設置が大事です。
次に、キャスターが動かないようにすることがポイントになりますが、
私はシンプルに手で固定しました。
荷物用のガムテープなどを張って固定する方法もあると思います。
最後に、金属用のノコを軸に充てて切り始めます。
少ないエネルギーで切るコツは、木をのこぎりで切るように、
初めはノコを小さく動かして切れ目を作り、切れ目が固定されたら、
次にノコを大きなストロークで動かしていきます。
切れ目が固定されて切断が波に乗ると、
ぐいぐい金属を切り進めている感覚を感じられて面白くなります。
ただし木材とは違い、この金属の車軸を切るという作業は根気が必要です。
キャスター1つにつき、十数分ノコをひき続けました。
今回は2つだから、休み時間を入れて、40分くらいノコを引き続けました…!
それでも必ず切れるから、忍耐です!
ただ、翌日は腕が筋肉痛でした…。(プルプルプル)
もう一回やりたいかと聞かれると、あまりやりたくないです…。
さて、息が上がるような作業の後、ようやく車軸が切断されました。
おぉ~、金属もノコを選べば切れるんだ~!!
新しい経験が1つ増えました。
B. 新しい車軸、タイヤと交換する
次に、新しい車軸で新しいタイヤをキャスターにつけていきます。
下の写真では、タイヤの横に隙間を埋めるためのワッシャーを入れています。
ワッシャーの本来の役割は、ねじ頭部の食い込みを防ぎ、均等に圧をかけることだそうです。
そのため、正確にはねじ頭部のすぐ下に入れるものなのですが、
今回は、タイヤとキャスターの間を埋めて横ブレを防ぐ目的で、ワッシャーを使用しています。
メーカーのキャスターには、タイヤとキャスターの間にワッシャーは入っていなかったので、
正規の部品と自分で集めた部品とで違いが出るのは、こうした細かな部分なのでしょうね。
タイヤとワッシャーの並びを整えた後、車軸を通します。
最後に六角レンチを使ってねじを締めていきます。
車軸を通す作業は、あっという間です。
やった!出来た!
C. 出来上がり
出来上がったのがこちらです。
右側2つが今回修理したキャスターです。
左側2つのメーカーのキャスターと比べると、見た目の違いはありますが、
タイヤの回転は快調で、スーツケースの動きもなめらかです。
キャスターが壊れてスーツケースが使えないと青ざめていましたが、
自分で修理できたんだと思うと、うれしくなります。
D. 改善点と気づき
もし改善点を挙げるとするなら、車軸の色を目立たなくするために、
黒のスプレーで車軸を塗装しておくとよかったかもしれません。
また作業中にキャスターの構造をよく見ていると、
キャスター部分が一つの部品になっていて、本体に取り付けられていることが見えてきました。
もしかするとメーカーによるキャスターの修理というのは、
キャスター部分を丸ごと替える修理のことをいうのかなと思いました。
(Amazon.comでキャスター部分を丸ごと販売しているのを見つけました。)
今回は、キャスターの土台部分に大きな痛みはなく、タイヤの劣化のみだったので、
このタイヤ交換の修理でよかったのかなと思います。
Ⅴ. まとめ
DIYが大好きな私にとっては、物の構造がどうなっているのかを知るのには、修理は絶好の機会です。
今回はスーツケースのキャスターを修理するために試行錯誤し、新たな道具と用途を学びました。
十数年使っているスーツケースのキャスターが壊れて、一度は青ざめましたが、
自分の手で無事に復活させることができ、
スーツケースにより一層の愛着がわいています。
(そして使い方の反省を活かして、4輪で移動させるようにしています…!)
さぁこのスーツケースを持って、これからどこへ行き、どんな人に会えるのでしょう。楽しみです。
Ⅵ. 著作権
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